アレルギー科

アトピー性皮膚炎

 アトピー性皮膚炎は、皮膚が外部からの刺激を守る機能(バリア機能といいます)がもともと弱い状態であるため、外からの刺激がきっかけとなってかゆみをともなう湿疹が出ます。通常皮膚の湿疹は良くなったり悪くなったり変動を繰り返しながら長期に続きます。アレルギー反応を起こしやすいお子さんに時々みられます。

症状

 皮膚が乾燥しかゆみをともなう湿疹がみられます。かゆいため掻いたあとにかさぶたができたり、皮膚が厚くなったりすることがあります。一般的に乳幼児では2カ月以上続くと慢性と判断します。皮膚の炎症が続くとそれに伴いかゆみも持続し、掻いてしまうことで皮膚に傷がつき炎症がさらに悪化、皮膚を守るバリア機能が低下していきます。アトピー性皮膚炎の治療は長期にわたることもありますが、状態にあった軟膏を使用することで症状を軽減し良い状態を維持することを目標にします。

検査

 アレルギー性の炎症を起こす原因(アレルゲン)を血液検査により調べます。ダニやハウスダストが検出されることが多いです。またTARC(ターク)という皮膚湿疹の程度を調べる方法を併用することがあります。

治療

 基本的には保湿剤とステロイド軟膏を用いかゆみを早い段階で軽減させ、掻かない状態が続くように管理します。保湿剤は1日に2〜3回皮膚がしっとりとするよう塗布します。ステロイド軟膏は効果の強さが5段階に分けられていますが、小児のアトピー性皮膚炎に対しては通常弱い方から3段階までの軟膏を用います。ただし皮膚の厚い部位や湿疹の程度の強い部分には、期間を限定して4段階目の軟膏を使用することもあります。顔や首など皮膚の薄いところには弱い軟膏を使用することが多く、体や手足など皮膚が比較的厚いところには中等度のものを使用しますが、なおりにくい場合にも少し強めの軟膏を使うことがあります。このように症状や部位によってまた経過によって軟膏を使い分けていきますので、軟膏の種類や塗布の方法を十分に理解して管理する必要があります。
 当クリニックでは、アトピー性皮膚炎をはじめとした皮膚疾患に対しては電子カルテに図の記録を残し、画像記録も併用しながら皮膚の症状の経過をカルテの記録と視覚的に把握できる加増記録により管理を行っています。
※痒みが強い場合は一時的にかゆみを和らげる作用のある経口薬(抗ヒスタミン薬)を用いることもあります。またステロイド軟膏以外にも免疫作用を押さえることで皮膚の炎症を抑える「タクロリムス」という軟膏を用いることもあります。皮膚の痒み、湿疹など症状がみられる場合にはお気軽にご相談ください。