生まれたばかりの赤ちゃんは、体内のビタミンKの貯えが少なく、腸内細菌も未成熟なため、血液が固まりにくい状態になっています。特に母乳栄養の赤ちゃんについては、母乳栄養には多くの利点があるもののビタミンKが不足しやすい点には注意が必要で、生後3週間〜2か月頃に「乳児ビタミンK欠乏性出血症」が起こるリスクがあります。
この病気は、出血が止まりにくくなることで、皮下出血や腹腔内出血、さらには頭蓋内出血を引き起こすことがあり、重篤な後遺症を残すこともあります。安全な育児のため、日本小児科学会では予防的なビタミンK2シロップの投与を推奨しています。
この時期に発症した場合、8割以上が頭蓋内出血から始まると言われています。次のような症状に注意が必要です:
赤ちゃんを出血から守るために、以下のような予防的なビタミンK2の投与が行われます。
国内ガイドラインでは、以前は3回投与が推奨されていました。
鳥取県ではさらに予防を強化する目的で、生後3か月まで週1回の追加投与を行っています。
乳児ビタミンK欠乏性出血症は、適切な予防投与を行えばほぼ100%予防可能な病気です。もしビタミンK2シロップをうまく飲めなかった場合や、気になる症状がある時は、いつでもご相談ください。
これまでにビタミンK2シロップ投与による副作用や過剰症の報告はほとんどなく、安全性も高いとされています。安心してご使用いただけます。
気になることがあれば、いつでもお気軽にご来院ください。