こんなときは注意しましょう
突然強く泣いては落ち着く──このサイクルを繰り返す、嘔吐が増える、赤いゼリー状の便(血が混じった便)が出る。これらは腸重積症の代表的なサインです。すべてが同時に出ないこともあります
どんな病気でしょうか?
腸の一部がとなりの腸に入り込み、通り道が狭くなる病気です。生後6か月〜3歳に多く見られます。進むと腸の血流が悪くなるため、早めの診断と治療が大切です。
家庭で注意するポイント
「痛い→ケロッ→また痛い」を何度も繰り返すのが特徴です。泣く時間と間隔、嘔吐の回数、便の色をメモし、便は写真で残すと診療がスムーズです。ぐったり、青白い、反応が鈍い、緑色の吐物があれば救急受診を考えましょう。
受診の目安
迷うときは「受診して安心」を。特に、突然はげしく泣く/機嫌の波を繰り返す/嘔吐/血便/ぐったり・顔色不良のいずれかがあれば、早めに医療機関へご相談ください。
診断のしかた
痛みの少ない超音波検査が中心です。放射線を使わず短時間で確認でき、必要に応じてレントゲンや採血を組み合わせて重症度を評価します。
治療の流れ
多くは手術をせず、肛門から空気や造影剤を入れて押し戻す注腸整復で治します。早く始めるほど成功しやすく、うまくいかない時や腸に穴の疑いがある時は手術を選びます。整復の成功率は高く、状態に応じて一晩観察します。
再発について
再発は一部で起こり(およそ5〜10%)、そのうちの一部は24時間前後の早期に見られます。退院後しばらくは静かに過ごし、同じような泣き方・嘔吐・血便があれば早めに再受診してください。
原因は?
多くは明確な原因がなく、かぜや胃腸炎のあとに腸のリンパ組織が一時的に腫れてきっかけになると考えられています。年長児では、ポリープやメッケル憩室など原因を調べる検査が必要になることがあります。
ロタワクチン後の見守り
接種後約1〜2週間は、腸重積のリスクが通常より高まるとする報告があります。ただし接種の利益は大きく、過度な心配は不要です。上記サインが一つでもあれば受診してください。
当院の取り組み(米子市)
子育て長田こどもクリニックでは、院内に超音波診断装置を備え、初期評価が可能です。整復が必要と判断した場合は、米子市近郊の連携医療機関へ速やかにご紹介します。
まとめ/ご相談ください
腸重積症は早く気づき、早く治療すれば多くが改善します。迷った時こそ受診を心がけましょう。