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2021-01-04

抗菌薬(抗生剤)の適正使用について

感染症の治療において、抗菌薬(抗生剤)は大きな役割を果たしますが、数年前から抗菌薬の使用について世界的に注意喚起がなされています。抗菌薬の役割と国際的な課題、実際の診療での使用について少し解説します。

感染症には大きく分けてウイルス性と細菌性に分かれますが(ほかにもありますが、今回は主な2種とします)、抗菌薬は細菌感染症に有効なだけでウイルス感染症には効果がありません。しかし、いわゆるかぜを始めとして、急性気管支炎、急性胃腸炎など、日常診療ではウイルス性の感染症が多くを占めます。このような抗菌薬が効かないウイルス性の感染症に抗菌薬を投与する機会が特に以前は多かったのですが、抗菌薬を多用することにより抗菌薬が効かない細菌(耐性菌)が増えてきており、これが問題となっています。世界保健機関(WHO)は 2015年に耐性菌への対策を開始し、日本でも同年から開始されています。

当クリニックでは、以前から必要と思われる時のみ抗菌薬を使用しておりますが、今後も引き続き同様の方針で続けていきたいと思います。通常いわゆる風邪や急性気管支炎、急性咽頭炎、急性胃腸炎(急性下痢症)に対しては抗菌薬を使用しませんが、急性咽頭炎のうち溶連菌感染症のとき、急性気管支炎や急性肺炎においてマイコプラズマや百日咳菌が考えられる場合には抗菌薬を使用します。また急性胃腸炎に対しても細菌感染症と考えられる場合には抗菌薬を使用することもあります。いずれにしても診察の際に抗菌薬の必要性については説明していきますので、ご不明の点などありましたら遠慮なくお問い合わせください。