2024年夏ごろから、鳥取県内で百日咳(ひゃくにちぜき)の大規模な流行が確認されました。
特に鳥取市を中心とした県東部では、小中高校生を中心に患者数が急増し、2024年後半には県全体で365人の感染が報告されました。これは、2018年比で6倍以上でした。
全国的にはまだコロナ前の水準に戻っていない中で、鳥取県の増加は目立っており、都道府県別でも上位に位置しています。
流行のピークは2024年夏から秋にかけてでしたが、その後も完全には収束せず、2024年末以降も感染報告が継続しています。
2025年4月現在、米子市を含む県西部地域でも、10歳前後の子どもを中心に百日咳の発生が続いているとの県の公式発表がありました(鳥取県HP)。
鳥取県や米子市の保健所は、次のような対策を呼びかけています:
定期予防接種(DPT-IPV)の実施の確認
家庭や学校での手洗い・マスク着用の励行
咳が出る場合の「咳エチケット」の徹底
乳幼児がいる家庭では特に注意をしてください
2024年7月以降、鳥取県東部の中学校を中心に集団感染の報告がありました。
夏休み中の部活動や地域活動を通じて、米子市・境港市方面への感染拡大も心配されていました。
現在のところ、米子市内の特定の学校名などは公表されていませんが、県西部でも学齢期の子どもたちを中心に小規模な集団感染が起きていた可能性が指摘されています。
百日咳は、一度感染しても再感染する可能性がある病気です。
また、ワクチンの効果が年齢とともに薄れてくるため、思春期や大人も感染することがあります。
乳児や免疫力の低い子どもたちへの感染に対して注意が必要です。
咳が続いている家族や兄姉がいる場合は、乳児との接触を控えるなど、感染拡大を防ぐ意識を持つことが大切です。
百日咳は、初期は風邪に似た症状で始まり、次第に「コンコンコン」と連続する咳が続くようになります。
かぜやほかの感染症、アレルギー症状との鑑別が難しいことはありますが、百日咳には以下の症状がみられることが多いです。
咳が1週間以上続く
咳のあとに嘔吐することがある
呼吸のときに**「ヒューヒュー」という音**がする
夜になると咳がひどくなる
周囲に百日咳の患者がいる
百日咳の予防には、定期予防接種である5種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib:ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ・ヒブ)が効果的です。
・標準的には生後2ヶ月から接種開始、4回の接種で基本的な免疫をつけます。ただし、ワクチンの効果は年数とともに弱まるため、特に小学生〜10代以上は感染・伝播の可能性があります
・就学前(5~6歳)の年長児には三種混合ワクチン(DPT)の追加接種が有効とされています。これは定期接種ではなく私費での接種となりますが、現状では百日咳予防に対して大変有効な方法ですので、ぜひご検討下さい
・乳幼児がいるご家庭では、周囲の大人や年長のお子さまも必要に応じて追加接種をご検討ください
当クリニックでは、百日咳を含む感染症の早期診断と治療に対応しています。
米子市を中心とした地域での流行状況に基づき、抗原検査、PCR検査、LAMP法などにより診断を行っています。
「咳が長引く」「咳込みがある」など気になる症状がみられたら、お気軽にご相談ください。
※予防接種のご相談も承っておりますので、接種状況や追加接種についてご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。
百日咳について詳細は⇒ こちら