アレルギーの原因であるアレルゲンを少量から投与することで、体をアレルゲンに慣らし、症状をやわらげたり根本的な体質改善が期待される治療法のことをアレルゲン免疫療法といいます。舌下免疫療法と皮下免疫療法の2種類があり、このうち当院では舌下免疫療法を行っております。
アレルギー性鼻炎の中でスギ花粉症とダニアレルギーの方が対象となり、重症度に関係なくすべての方が適応となります。特に対症療法では十分な効果が得られにくい方におすすめの治療法です。こどもの場合には5才以上が治療の適応となります。基礎疾患のある方で、適応外となる場合もあります。
・おくすりを1分間舌の下において溶かし、その後飲み込みます(1日1回)。
・服用前後2時間は、運動や入浴を控える必要があります。
・スギ花粉症の場合は、6月~12月頃に治療を開始します(花粉が飛散する1月~5月頃は反応が
強く出ることがあるため、開始出来ません)。
・ダニアレルギーの場合は、年間を通して治療を開始することが可能です。
・ダニとスギの治療を併用して行うことも可能です(開始時期はずらす必要があります)。
・くしゃみ、鼻水、鼻づまりの改善
・目のかゆみの改善
・症状の改善によるアレルギー治療薬の減量あるいは中止
・おくすり服用開始後すぐに効果が出るわけではなく、徐々にその効果が感じられるようになります。3年から5年程度の間継続して毎日続けることが大切です。70~80%前後の方に改善効果が認められるといわれています。
・初回は院内でおくすりを服用して1時間程度様子をみせていただき、増量時には自宅で服用後受診してもらい状態を確認します。
・その後は月に1回程度の通院が必要となります。
・口腔内の腫れ・かゆみ、のどの違和感や耳のかゆみなどの症状がみられることがあります。
多くは比較的短期に消失しますが、投与後少なくとも30分間、投与開始初期の1か月間は特に注意が必要です。
・ごくまれですが、アナフィラキシーと呼ばれる重篤な症状(蕁麻疹などの皮膚症状、おなかの痛み・嘔吐、息苦しさなど)が生じることもあるとされています。
・抗ヒスタミン薬(アレルギーを抑えるくすり)を併用することで、副作用の発現を軽減させます。
・体調不良な時、歯科治療の際、また口内炎があるときには治療を一時中断することがあります。
①ダニが繁殖しやすい環境(温度25度以上、湿度60%以上)を避ける。
②ダニが繁殖しやすいじゅうたんや布製ソファなどの使用は避ける。
③掃除機は20秒/m2の時間をかけて行うことが望ましい。特に寝具は重要であり、週1回以上行う。
④シーツ・カバーはこまめに交換・洗濯することが望ましい。
⑤防ダニシーツの効果はある程度望めるが、殺ダニ剤の使用は推奨されない。
⑥室内ペットの飼育は、ペットアレルゲンの新規感作やダニアレルゲンの増加をもたらすため避ける。
①花粉飛散の多い時の外出は控える。外出時にマスク、メガネを使う。
②表面が毛羽立った毛織物などの衣服の使用を避ける。
③帰宅時、衣服や髪をよく払ってから入室する。洗顔、うがいをし鼻をかむ。
④飛散の多い時は、窓や戸を閉めておく。換気時は窓を小さく開け短時間にとどめる。
⑤飛散の多い時は、ふとんや洗濯物の外干しを避ける。
⑥掃除をする、特に窓際を念入りに行う。
日本アレルギー学会、アレルゲン免疫療法の手引 より