赤ちゃんの疾患ページ(1)

赤ちゃんの股関節脱臼:早期発見・早期治療の重要性

赤ちゃんの股関節脱臼とは?原因・予防・対策をわかりやすく解説!

赤ちゃんの股関節脱臼(こかんせつだっきゅう)は、脚の付け根にある関節が正常な位置に収まらず、不安定になったり外れてしまう病気です。早期に発見し、適切にケアすることで将来の歩行や運動機能への影響を防ぐことができます。

この記事では、股関節脱臼の原因や予防方法、正しい抱っこやおむつの当て方など、日常生活で気をつけたいポイントを詳しく解説します。


股関節脱臼の原因は?どうして起こるの?

赤ちゃんの股関節脱臼は 先天的 なものと 後天的 なものに分けられます。

1. 先天的な原因

生まれつき股関節がゆるい状態の赤ちゃんがいます。特に以下の条件に当てはまる場合、リスクが高いとされています。

  • 家族に股関節脱臼の既往がある(遺伝的な要素)
  • 女の子(男の子より5~7倍なりやすい)
  • 逆子で生まれた(お腹の中で股関節が圧迫されることがある)

2. 後天的な原因

生後の環境や育児の方法が影響することもあります。例えば、

  • 脚をまっすぐに伸ばしての抱っこ
  • 股関節を締め付けるような衣類やおくるみ
  • 長時間の横抱きやスリング抱っこ(脚が閉じた状態が続く)

これらが股関節に負担をかけ、脱臼を引き起こす可能性があります。


股関節脱臼を予防するためにできること

1. 股関節によい抱っこの仕方

赤ちゃんの股関節は、M字型に開いた状態 で安定します。この姿勢を意識しながら抱っこしましょう。

コアラ抱っこが理想的!
赤ちゃんを縦抱きにし、両脚がM字に開くように支えてあげると股関節にやさしい姿勢になります。

🚫 脚をまっすぐ伸ばす抱っこはNG!
股関節に負担がかかり、脱臼のリスクが高まります。

2. おむつの正しい当て方

  • おむつのウエストテープは おへその高さ にする
  • お股がしっかり開くようにし、食い込まないように調整する
  • 「ハイレグおむつ」 を意識する(脚の付け根が締めつけられないように)

3. 衣類やおくるみの工夫

赤ちゃんの股関節の動きを制限しないようにすることが大切です。

ゆったりとした服を選ぶ
股関節を締めつけるような厚手の衣類や、きつめのズボンは避けましょう。

おくるみは上半身のみを包む
赤ちゃんの足を締めつけないように、上半身だけを包み、脚は自由に動かせるようにします。


こんな症状があれば要注意!早期発見のポイント

股関節脱臼は、早期に発見し適切に治療を行えば、ほとんどが問題なく治ります。以下のポイントに当てはまる場合は、早めに小児科医や整形外科医に相談しましょう。

🔍 股関節脱臼のチェックポイント

赤ちゃんの股関節がかたく、開きにくい(開排制限)
両脚の長さが違うように見える
お尻や太もものシワ(皮膚溝)が左右で非対称
歩き始めた頃に、びっこを引くような歩き方をする

特に 家族歴がある・女の子・逆子だった という赤ちゃんは、定期的な検診を受けることが大切です。

保護者向けのリーフレット(1)

乳児股関節検診の案内ポスター。股関節脱臼のチェックポイントとして、股関節の開排制限、大腿や鼠径部の皮膚溝の非対称、家族歴、女児、骨盤位分娩(帝王切開時を含む)の5つのリスク因子が示されている。左右差や皮膚のしわの位置に注意を促すイラスト付きクリックで拡大

保護者向けのリーフレット(2)

赤ちゃんの股関節脱臼を予防するための説明資料。M字開脚を基本とした自由な運動の重要性や、コアラ抱っこの推奨、向き癖がある場合の注意点が記載されている。正しい抱っこ方法やNGな姿勢を示したイラストや写真付き。クリックで拡大


股関節脱臼の診断と治療

👩‍⚕️ 診断方法 股関節脱臼の診断には 超音波(エコー)検査 が有効です。生後1~3か月頃に検査を受けると、まだ骨がやわらかいうちに正しい位置に戻すことができます。

🩺 治療方法 治療は 赤ちゃんの月齢と脱臼の程度 によって異なります。

  • リーメンビューゲル装具 を装着し、股関節を正しい位置に固定する(生後6か月以内が理想)
  • それでも改善しない場合は、ギプス固定や手術が必要になることも

早期に治療を始めれば、多くの赤ちゃんは問題なく治ります!


まとめ:股関節脱臼は予防&早期発見が大切!

赤ちゃんの股関節脱臼は、適切な抱っこやおむつの使い方で予防できます。もし気になる症状があれば、早めに小児科医や整形外科医に相談しましょう。

当院では、赤ちゃんの発育や股関節のチェックを行っています。
「ちょっと気になるな…」と思ったら、お気軽にご相談ください!


診療時間 電話 Web予約 アクセス