赤ちゃんの疾患ページ(出生後〜3, 4 か月頃)

新生児〜生後4か月の赤ちゃんの嘔吐

生理的な嘔吐と病的な嘔吐

赤ちゃんの嘔吐はめずらしいことではありません

赤ちゃんがミルクを飲んだあとに口からこぼしたり、少し吐いてしまうことはよくあります。これは「溢乳(いつにゅう)」と呼ばれ、生後まもない赤ちゃんにはとてもよく見られる生理的な現象です。

赤ちゃんの胃と食道のつなぎ目は、まだしっかり閉まらず逆流しやすい構造になっています。そのため、ちょっとした刺激や姿勢によっても簡単に吐き戻しが起こります。元気があり、機嫌がよく、体重も順調に増えているようなら、ほとんどの場合は心配いりません。

よくある溢乳の特徴とご家庭での対策

  • 授乳後に少量のミルクをたらたら吐く
  • 吐いたあとも機嫌が良く、また飲みたがる
  • 体重が順調に増えている

このような場合は、胃→食道の逆流による生理的な嘔吐(溢乳)と考えられます。

おうちでできるケア

  • 授乳後は縦抱きでゲップをしっかり出す
  • 寝かせるときは横向きや少し頭を高くする
  • 一度の授乳量を控えめにし、回数を増やす
  • お腹が張っているときは無理に飲ませない

月齢が進むにつれて増えることもあります。

生後3~4か月は飲む量が増えて、胃も発達途中なので、吐き戻しの回数も増えやすい傾向にあります。その一方で、この時期に胃と食道のつなぎ目の筋肉が発達して軽減していくこともあります。

吐いた色や様子にも注目しましょう

吐いた内容 考えられる原因 受診の目安
白や透明 一般的な吐き戻し 観察でOK
黄色・緑色 胆汁が混じる可能性 早めに受診
赤や黒っぽい 消化管出血の可能性 すぐに受診

嘔吐の原因には病気が隠れていることもあります

胃食道逆流症(GERD)

頻繁な吐き戻しや、体重が増えない、機嫌が悪いなどがある場合は胃食道逆流症の可能性があります。成長とともに改善することが多いですが、必要に応じてお薬を使用することもあります。

急性胃腸炎

ウイルス性胃腸炎では嘔吐に加え、下痢や発熱を伴います。水分がとれず、尿の量が少ない、ぐったりしているときは早めに受診してください。

肥厚性幽門狭窄症

生後2〜4週に多く、ミルクを噴水のように吐くのが特徴です。吐いたあとにもまた飲みたがることも多いのですが、その場合でも嘔吐を繰り返します。治療として手術が行われることも多いです。

食物アレルギー

特に牛乳由来のミルクでは、嘔吐・下痢・血便が現れることがあります

便秘や過飲(飲み過ぎ)

お腹が張って嘔吐することもあります

腸重積症

不機嫌と機嫌が良い状態を繰り返したり、血便、嘔吐がみられます

すぐ受診が必要なサイン

  • 緑色・赤色・黒っぽい嘔吐
  • 1日に何回も激しく吐く
  • 吐いたあとぐったりする・機嫌が悪い
  • 水分がとれず、尿が減っている
  • 発熱や下痢が続いている
  • 血便がある、お腹が極端に張っている

ご家族へ

新生児~生後4か月は、吐き戻し=生理現象が多い時期です。 色・量・回数・お子さんの様子をチェックすることで、「大丈夫な吐き戻し」と「すぐ受診が必要な嘔吐」をある程度見分けることができますが、「いつもと違う」と感じたときは病気の可能性を考え、早めに相談ください。受診された際には、診察、超音波検査などを実施し、状態や経過に応じて病院と連携をとって診療することもあります。


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