新生児期に実施される検査とビタミンK2シロップの予防投与

新生児聴覚スクリーニング検査とは?

赤ちゃんが生まれてすぐに行う「新生児聴覚スクリーニング検査」は、将来の言葉や心の発達に大きく関わるとても大切な検査です。生まれつき耳が聞こえにくい「先天性難聴」は、1000人に1〜2人の割合で見られます。外見では分かりにくいため、出生直後の早期発見がとても重要です。

赤ちゃんの耳

新生児聴覚スクリーニング検査とは?

この検査は、生まれたばかりの赤ちゃんが「音を聞き取っているか」を確認する検査です。赤ちゃんが眠っている間に小さな音を聞かせて、耳から脳へ伝わる反応を測定します。痛みもなく、5〜10分程度で終わるため、赤ちゃんに負担の少ない安全な検査です。

主な検査方法

  • OAE(耳音響放射)検査:内耳の反応を調べる方法です。
  • AABR(自動聴性脳幹反応)検査:電極で脳の反応を測定します。

新生児聴覚検査

検査結果の見方:「パス」と「リファー」

検査の結果は以下の2つのいずれかで示されます。

  • パス(Pass):その時点では聞こえに問題なし。
  • リファー(Refer):再検査が必要。

「リファー」となった場合でも、一時的な原因(羊水が耳に残っているなど)で反応が弱くなることもあり、再検査で問題がなかったと診断されるケースも多々あります。「リファー」の場合でも異常と思い込むことなく、落ち着いて対応しましょう。

検査の時期と流れ

多くの場合、出生後3日以内に出産した病院で実施されます。もし入院中に受けられなかった場合でも、早期に検査を受けることができます。赤ちゃんがよく眠っているタイミングで、耳に小さな機器をつけて検査を行います。

検査の費用と助成制度

この検査は健康保険の対象外ですが、ほとんどの自治体で公費助成があります。

リファー判定後の流れ

再検査でもリファーとなった場合は、耳鼻科や専門機関での精密検査へ進みます。多くの場合、ABR(聴性脳幹反応)検査が行われます。

CMV(サイトメガロウイルス)検査との関係

最近では、「リファー」となった赤ちゃんには出生から3週間以内のCMV感染症検査が推奨されています。

先天性CMV感染は、難聴の原因の約15%を占めるとされており、早期発見により治療の選択肢が広がります。

もし難聴と診断されたら

難聴と診断された場合、生後6か月までに次のような支援を開始することが重要です。

  • 補聴器の装用
  • 言語聴覚士による言葉のトレーニング
  • 人工内耳の検討(重度難聴の場合)

早期の対応により、赤ちゃんの言葉やコミュニケーションの発達を促すことになります。

難聴の原因はさまざまです

先天性難聴の原因には、以下のようなものがあります。

  • 先天性感音難聴:内耳や聴神経の異常による
  • 先天性CMV感染:無症状でも難聴の原因になる
  • 中耳炎:羊水や母乳が耳に残ることで一時的に聞こえにくくなる
  • 薬剤性や脳性:NICU入院中の薬や黄疸、低酸素障害などが影響
  • その他:遺伝性の病気や先天性風疹など

いずれも、必要に応じて耳鼻科や専門医と連携して対応することになります。

安心して検査を受けましょう

新生児聴覚スクリーニング検査は、特殊なものではなく全国で約96%の赤ちゃんが受けている標準的な検査です。

赤ちゃんの聞こえは、将来の言葉や心の成長に深く関わります。新生児聴覚スクリーニング検査を受けることで、先天的な難聴を早期に発見し、必要な支援を始めることができます。ご不明の点などありましたら、お気軽にお問い合わせください。


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