新生児期に実施される検査とビタミンK2シロップの予防投与

新生児期の便色カード検査

新生児の便の色と便色カード

赤ちゃんのうんちの色は、健康状態を知るための大切なサインです。特に、生まれてまもない時期は、肝臓や胆道(胆汁の通り道)の病気が便の色に現れることがあります。その中でも見逃してはいけないのが「胆道閉鎖症」です。母子健康手帳にある「便色カード」は、そんな重い病気を早期に見つけるための重要なツールです。これは、赤ちゃんの便の色を観察し、「胆道閉鎖症(たんどうへいさしょう)」という病気の早期発見に役立つものです。


便色カードとは?

母子手帳に付いている「便色カード」は、赤ちゃんの便の色をチェックするための色見本です。便をおむつごと見て、カードにある1番〜7番の色と比べて、最も近い番号を記録します。

● チェックのタイミング

・生後2週
・生後1か月
・生後2〜4か月

この時期に便の色を確認し、**1〜3番の色(白っぽい・クリーム色・灰色)**が見られたら、胆道閉鎖症の可能性があります。


赤ちゃんの便の色をチェックしましょう

赤ちゃんの便色カード見本

赤ちゃんの便色カード見本
※この画像は、こども家庭庁『母子保健のしおり作成の手引き』(2023年4月1日発行)より一部を抜粋して引用しています。
出典:こども家庭庁 母子保健のしおり作成の手引き(PDF)

さらに詳しく:便色カードの使用方法と発見できる疾患について(札幌市HP)

便色カードの使い方

  1. 明るい場所で、オムツのうんちを確認します

  2. 便色カードと見比べて、一番近い色の番号を選びます

  3. 記録欄に色番号と日付を記入します

ポイント:

  • 必ず昼間の自然光でチェックしましょう

  • 色の変化があればすぐに記録し、小児科に相談を

受診の目安となる便の色

  • 1番〜3番:クリーム色や灰白色 → すぐに受診

  • 4番〜7番:黄色や緑色 → 定期的に観察

便色が1〜3番に近づいてきた場合や、黄疸が長引くときは、迷わず受診をおすすめします。

胆道閉鎖症について

胆道閉鎖症とは、赤ちゃんの肝臓から腸へ胆汁(食べ物の消化に必要な液)が流れなくなる病気です。約1万人に1人の割合で発症するといわれています。

胆汁が通らなくなると、

  • 便の色が白っぽくなる

  • 黄疸(目や肌が黄色っぽくなる)が長引く

  • 尿の色が濃くなる

といった症状が現れます。元気そうに見える赤ちゃんでも、これらのサインがあれば注意が必要です。


早期発見の重要性

胆道閉鎖症は放置すると、胆汁が肝臓にたまって炎症を起こし、肝硬変や肝不全へと進行してしまうことがあります。

しかし、早期に手術(葛西手術)を受ければ、肝臓の機能を長く保てる可能性が高くなります。

そのため、生後60日以内の診断がとても大切です。


鑑別が必要な他の病気

胆道閉鎖症のほかにも、似たような症状を起こす病気があります。たとえば、

・新生児肝炎
・シトリン欠損症
・アルジール症候群
・進行性家族性肝内胆汁うっ滞(PFIC)

これらは専門的な検査や診察が必要なため、気になる症状があれば必ず小児科医に相談してください。


当クリニックの対応について

便色カードの活用についてのご相談も受け付けています。

  • 便の色が気になる

  • 黄疸が長引いている

  • 判断し難い

といったご不安がある場合は、お気軽にご相談ください。便の色を一緒に確認いたします。


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