赤ちゃんが生まれてすぐに行う「新生児聴覚スクリーニング検査」は、将来の言葉や心の発達に大きく関わるとても大切な検査です。生まれつき耳が聞こえにくい「先天性難聴」は、1000人に1〜2人の割合で見られます。外見では分かりにくいため、出生直後の早期発見がとても重要です。
この検査は、生まれたばかりの赤ちゃんが「音を聞き取っているか」を確認する検査です。赤ちゃんが眠っている間に小さな音を聞かせて、耳から脳へ伝わる反応を測定します。痛みもなく、5〜10分程度で終わるため、赤ちゃんに負担の少ない安全な検査です。
検査の結果は以下の2つのいずれかで示されます。
「リファー」となった場合でも、一時的な原因(羊水が耳に残っているなど)で反応が弱くなることもあり、再検査で問題がなかったと診断されるケースも多々あります。「リファー」の場合でも異常と思い込むことなく、落ち着いて対応しましょう。
多くの場合、出生後3日以内に出産した病院で実施されます。もし入院中に受けられなかった場合でも、早期に検査を受けることができます。赤ちゃんがよく眠っているタイミングで、耳に小さな機器をつけて検査を行います。
この検査は健康保険の対象外ですが、ほとんどの自治体で公費助成があります。
再検査でもリファーとなった場合は、耳鼻科や専門機関での精密検査へ進みます。多くの場合、ABR(聴性脳幹反応)検査が行われます。
最近では、「リファー」となった赤ちゃんには出生から3週間以内のCMV感染症検査が推奨されています。
先天性CMV感染は、難聴の原因の約15%を占めるとされており、早期発見により治療の選択肢が広がります。
難聴と診断された場合、生後6か月までに次のような支援を開始することが重要です。
早期の対応により、赤ちゃんの言葉やコミュニケーションの発達を促すことになります。
先天性難聴の原因には、以下のようなものがあります。
いずれも、必要に応じて耳鼻科や専門医と連携して対応することになります。
新生児聴覚スクリーニング検査は、特殊なものではなく全国で約96%の赤ちゃんが受けている標準的な検査です。
赤ちゃんの聞こえは、将来の言葉や心の成長に深く関わります。新生児聴覚スクリーニング検査を受けることで、先天的な難聴を早期に発見し、必要な支援を始めることができます。ご不明の点などありましたら、お気軽にお問い合わせください。