小児科
お子さんの便秘:原因と解消法
便秘は、便が十分に排出されない、または快適に排出できない状態を指します。
便秘と考えられる状態
子どもの10~20%が経験するといわれ、珍しいものではありません。以下のような状態は便秘の可能性があります。
- 排便が週3回以下、または5日以上出ない
- 便が硬くて小さい、または便を出すのに時間がかかる
- 排便時に痛みがあり、いきむ
- お腹が張る、または痛みを訴える
- 排便時に痛みや肛門からの出血がある
- 少量の便が漏れる(便失禁)
- コロコロ便や軟らかい便が頻繁に出る
年齢別の便秘の特徴
- 乳幼児期(生後0〜2歳)
この時期、特に母乳やミルクの栄養を取っている赤ちゃんに便秘がみられることがあります。離乳食を始める時期に便が硬くなることがあり、特に水分不足や繊維不足が原因になることがあります。
- 幼児期(2〜5歳)
この時期に始まるトイレットトレーニングを進める間に便秘がみられることがあります。排便を我慢する習慣がついてしまうと、便が硬くなり便秘に繋がることがあります。また、無理にトレーニングを進めると、心理的なストレスが便秘を悪化させることがあります。トイレットトレーニングはお子様のペースに合わせて焦らず進めましょう。
- 学童期(6〜12歳)
学校での生活が始まると、トイレに行く時間や環境に制限が出てくるため、排便を我慢することが増え、便秘が発生しやすくなります。また、朝食を取らない、野菜不足、運動不足も便秘の原因となります。この時期のお子様には、朝食をしっかりとり、排便のタイミングを整えることが重要です。
主な原因
便秘は以下の要因で引き起こされることが多いです:
- 食生活の問題:食物繊維や水分不足
- 運動不足
- 生活リズムやストレスの影響
- 離乳食開始やトイレトレーニング、学校生活の開始といったライフステージの変化
便秘の診断
便秘の診断は、問診や触診を中心に行います。必要に応じて、腹部の超音波検査などで腸内の状態を確認することもあります。便秘が続く場合、または成長障害、嘔吐、血便などの症状があり基礎疾患の可能性も考えられる場合には、詳しい検査が必要になることもあります。
解消法と対策
- 生活習慣の見直し:規則正しい生活を送り、毎日一定の時間にトイレへ行く習慣をつける
- 食事の改善:全粒粉のパン、果物、野菜、海藻類など食物繊維が豊富な食品と十分な水分を摂取
- 適度な運動:腸の動きを活性化します。
- 薬物療法(必要に応じて):下剤や浣腸など、医療機関で相談しながら使用します。
便秘管理について
- 排便記録をつける:毎日の排便の様子を記録することで、便秘の状況をより正確に把握できます。便の硬さや量、排便時の時間やお子様の反応などを記録しましょう。
- トイレを楽しい時間に:特に幼児期のお子様には、トイレをポジティブな体験にするためにシールやスタンプを使ってトイレの習慣を楽しく促進する方法が効果的です。
便秘は再発しやすいため、早めの対応が重要です。当クリニックでは生活習慣の指導や治療を通じて、お子さんの健康をサポートします。便秘が気になる場合はお気軽にご相談ください。