小児科
子どものおりもの(外陰膣炎)について
子どものおりものについて
女の子の陰部に「おりもの」が見られると、驚かれる保護者の方も多いかもしれません。
特に小さなお子さんでは、「おりもの=異常?」と不安になってしまうこともあります。
ここでは、子どものおりもの(外陰膣炎)の原因や症状、家庭での対処法、受診の目安をお伝えします。
子どもの「おりもの」とは?
「おりもの」とは、膣から出る分泌物のことを指します。
思春期以降の女性には自然な生理現象ですが、小さな女の子(未就学児〜小学校低学年)には基本的におりものはほとんど見られません。
もし、下着に白〜黄色、または薄緑色の分泌物が付着していたり、陰部に痛みやかゆみがある場合、膣や外陰部に炎症が起きている可能性があります。
この状態は「外陰膣炎(がいいんちつえん)」と呼ばれます。
また、新生児期には母親から受け継いだホルモンの影響で、一時的に白いおりものや少量の出血が見られることがあります。これは「新生児帯下」や「新生児月経」と呼ばれ、通常は数日で自然におさまります。
小児期に見られるおりものの主な原因
外陰膣炎の原因はさまざまですが、主に以下のような要因が考えられます。
- 陰部の清潔保持が不十分: 排便後の拭き方が不適切だと、細菌が膣に入り炎症を起こすことがあります。
- おむつや下着による刺激: 摩擦やムレが炎症の原因になることがあります。
- 洗剤や石けんなどの刺激: 香料入りの製品が子どもには刺激になることがあります。
- 真菌(カビ)や異物の混入: カンジダなどの真菌や、異物による炎症が原因となる場合もあります。
おりものが出ているときのサイン
以下のような症状があれば、外陰膣炎が疑われます。
- 下着への分泌物の付着(黄色、白色、緑がかった色)
- 臭いがきつい、膿のような見た目
- 陰部のかゆみや痛み(掻いたり、ヒリヒリを訴える)
- 排尿時の痛み(尿がしみる)
- 陰部の赤みや腫れ
- 夜間のかゆみや不機嫌
ご家庭でできるケアのポイント
受診前にできるケアとして、以下の方法が有効です。
- 拭き方の見直し: 必ず前から後ろへ一方向に拭きましょう。
- 入浴時の洗い方: 低刺激の石けんでやさしく洗いましょう。
- 下着と衣類の工夫: 綿素材の通気性の良い下着を使用します。
- 洗濯洗剤の見直し: 香料や柔軟剤を避け、無香料のものを選びましょう。
- かゆみ対策: 爪を短くし、掻き壊し防止のための工夫をしましょう。
受診の目安とは?
次のような症状がある場合は、小児科や皮膚科を受診しましょう。
- おりものの色が黄緑や褐色など明らかに異常
- 悪臭が強い
- かゆみや痛みが強く生活に支障が出ている
- 血が混じる
- 発熱がある
- 乳幼児以降でおりものが数日以上続く
医療機関での診察と治療
診察では、必要に応じて検査を行い、以下のような治療を行います。
- 抗菌薬や抗真菌薬の内服・塗布
- かゆみが強いときは軽度のステロイド軟膏を使用
- 清潔ケアの継続指導
まとめ:正しいケアと早めの受診で安心を
子どものおりもの(外陰膣炎)は、正しい清潔習慣と早期の対応で改善が期待できます。
気になる症状があるときは、お気軽にご相談ください。