小児科

子どもの熱中症対策|正しい水分の与え方と飲み物の選び方

夏は熱中症のリスクが高まる季節です。特に乳幼児は体温調節が未熟なため、脱水や熱中症に注意が必要です。
ここでは、小さなお子さんを持つ保護者の方に向けて、正しい水分補給の方法と飲み物の選び方、与えるタイミングや量について分かりやすくご紹介します。


1.乳幼児への水分補給方法と注意点

乳児(0〜1歳ごろ)への水分補給は、月齢によって方法が異なります

  • 生後6か月未満の赤ちゃん:
     基本的に母乳やミルクのみで水分は足ります。汗をかいた時でも、母乳やミルクの回数を少し増やす程度で十分です。水や白湯をわざわざ与える必要はありません。逆に、**水分の与えすぎは低ナトリウム血症(水中毒)**のリスクがあります。

  • 生後6か月以降の乳児・幼児:
     離乳食が始まった頃からは、汗をかいたり体調が悪い時に、少量の白湯や麦茶、赤ちゃん用イオン飲料を適宜補うこともできます。ただし、与えすぎないことが大切です。

また、**自分で上手に飲めない状態(ぐったりしている、呼びかけに反応がないなど)**のときに、無理やり飲ませるのは危険です。誤嚥のリスクがあるため、すぐに医療機関を受診しましょう。


2.子どもに適した飲み物の種類

水分補給には、目的や状況に応じた飲み物を選ぶことが大切です。

●日常の水分補給に適したもの:

  • 麦茶(ノンカフェインで安心)

  • 白湯(乳児に適している)

これらは糖分や塩分を含まず、日常の水分補給に最適です。

●必要時に使うもの:

  • イオン飲料(子ども用スポーツドリンクなど)
     発汗が多い運動後や暑い屋外活動後など、塩分も補いたい時に役立ちます。ただし、糖分が多く虫歯や肥満の原因になりやすいため、日常的にがぶ飲みするのは避けましょう。できれば水で薄めて使用すると安心です。

  • 経口補水液(ORS)
     下痢や嘔吐などの脱水が疑われるときに最も適しています。塩分と糖分のバランスが適正で、水よりも吸収が速く、体への負担も少ない飲み物です。乳幼児でも医師の指示のもとで使用できます。


3.スポーツドリンクの使い方

スポーツドリンクは、子どもが長時間外で遊んだり運動した後など、汗をたくさんかいたときに限定して使用しましょう。

ただし、以下の点に注意が必要です。

  • 糖分が多い → 飲みすぎは虫歯や肥満のリスク

  • 塩分が高め → 特に乳幼児には腎臓に負担がかかることも

  • 日常的な水分補給には不適切

よって、日常は水や麦茶、暑い日の外遊びや運動の後だけスポーツドリンクを少量使用というのが理想です。経口補水液と混同しないように注意してください。


4.水分補給のタイミングと頻度

子どもは喉の渇きを自覚しにくく、遊びに夢中になると水分を取り忘れがちです。
そのため、大人が意識的に声をかけてあげることが大切です。

●基本の考え方:

  • 「喉が渇いた」と言う前に飲ませる

  • 暑い日は15〜30分ごとに休憩&水分補給

  • コップ1杯(約150ml)を目安に与える

特に乳幼児の場合は、一度にたくさん飲むことが難しいので、短い間隔で少量ずつ与えるようにしましょう。


5.水分の分量と飲ませ方(少量頻回)

「少量頻回」というと難しく感じるかもしれませんが、以下のように実践できます。

  • 乳幼児の場合:
     スプーン1〜2杯(5〜10ml)を5〜10分おきに。嘔吐や下痢時の脱水予防としても有効です。

  • 幼児〜小学生:
     コップ半分〜1杯(75〜150ml)を15〜30分おきに。無理に飲ませず、楽しく水分補給できる環境づくりが大切です。

  • 1日全体の目安:
     体重1kgあたり約100mlが目安です(例:体重10kgなら1日1000ml程度)。食事からの水分も含めた量なので、飲み物から摂るのはこのうち半分〜2/3程度と考えてください。


最後に

夏場の水分補給は、「何を」「どれだけ」「いつ」飲ませるかが重要です。
特に乳幼児は大人よりも脱水になりやすく、体調悪化が早いため、大人がしっかり見守ってあげましょう。

水分補給をこまめに行い、子どもたちが元気に夏を乗り切れるようサポートしていきましょう。
心配な症状(ぐったりしている、尿が出ない、唇が乾いている等)が見られる場合は、早めに小児科にご相談ください。


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