子どもの園・学校生活について

学校健康診断・学校検尿について

4月〜6月にかけて、学校での健康診断が行われます。子どもたちの健康状態を把握し、疾病の早期発見・早期対応を目的とした大切な機会です。学校健診の意義や内容、そして異常が見つかった場合の対応について、保護者の皆様にご理解いただけるよう記載いたします。

     学校で授業を受ける子ども達

学校健診の目的と法的根拠

学校健康診断は、学校保健安全法に基づいて実施される法定健診です。その目的は以下の通りです:

  • 子どもたちの健康状態を正確に把握すること
  • 疾病や異常を早期に発見し、適切な医療につなげること
  • 生涯にわたる健康管理の基盤を作ること
  • 健康教育の機会とすること

定期的な健康診断によって、お子さまの健やかな発育・発達を支援するとともに、将来的な健康リスクを低減することができます。

健診の種類と内容

内科検診

内科検診では、以下の項目について検査が行われます:

  • 心臓:心音や心雑音の確認
  • :呼吸音の確認
  • 皮膚:疾患や異常の有無
  • 脊柱:側弯症などの異常の有無
  • 運動器:四肢の運動状態の確認
  • 身長・体重:成長曲線による評価

成長曲線について

成長曲線は、お子さまの身長や体重の変化を時系列で追跡するグラフです。以下のような評価に使用されます:

  • 身長・体重の増加パターンが標準的かどうか
  • 身長と体重のバランス(肥満、やせ)の評価
  • 思春期の発育状況の確認

※詳細は当クリニックのHP内記事(成長障害・肥満とやせ)もご参照ください。

歯科検診

歯科医師による歯と口腔内の健康状態の確認が行われます。虫歯や歯肉炎、噛み合わせなどがチェックされます。歯科検診で異常が見つかった場合は、早めに歯科医院での受診をお勧めします。

眼科検診

視力検査に加えて、必要に応じて眼科医による検診が行われます。近視、遠視、乱視などの屈折異常や、結膜炎などの目の疾患の有無を確認されます。

耳鼻科検診

耳鼻科医による耳、鼻、のどの検査が行われます。中耳炎、アデノイド肥大、扁桃肥大などの有無が確認されます。

学校検尿について

学校検尿は、腎臓病や尿路疾患、糖尿病などを早期に発見するための重要な検査です。日本では小学生から高校生まで広く実施されています。
鳥取県内での学校検尿については ⇒ こちら(鳥取県西部医師会HP)

検査項目

主に以下の項目について検査が行われます:

検査項目 異常が示唆する可能性のある疾患
尿蛋白 腎炎、ネフローゼ症候群など
尿潜血(血液の混入) 腎炎、尿路感染症、尿路結石など
尿糖 糖尿病、腎性糖尿など

検尿の流れ

  1. 一次検査:全児童・生徒を対象に実施
  2. 二次検査:一次検査で異常があった児童・生徒を対象に再検査
  3. 三次検査(精密検査):二次検査でも異常がみられた場合、医療機関で精密検査を実施

 

健康診断で異常が見つかった場合の対応

学校健診で何らかの異常の可能性が指摘された場合、過度に心配する必要はありません。まずは落ち着いて対応しましょう。

健診はあくまでスクリーニング検査であり、精密検査の結果、異常が認められないこともよくあります。しかし、潜在的な疾患の早期発見につながる重要な機会でもありますので、学校から受診を勧められた場合は、医療機関での診察を必ず受けるようにしましょう。

内科検診で異常を指摘された場合

心雑音や脊柱側弯、肥満などを指摘された場合は、専門医療機関での精密検査を受けることになる可能性もあります。当クリニックでも相談を承りますので、お気軽にご連絡ください。

検尿で異常を指摘された場合

検尿で異常が見つかった場合の一般的な対応は以下の通りです:

検査結果 対応
蛋白(+)または潜血(+) 二次検査を受ける
二次検査でも陽性 医療機関で三次検査(精密検査)を受ける
肉眼的血尿など結果や状態によっては  早急に医療機関を受診する
尿糖(±)以上 大学小児科を受診する

当クリニックでも検尿異常の精密検査を行っておりますので、学校から受診勧奨があった場合はご相談ください。必要に応じて専門医療機関をご紹介いたします。

よくある検尿異常と対応

一過性蛋白尿(起立性蛋白尿)

立ち上がった状態で採取した尿に蛋白が検出されることがありますが、横になっている時の尿では陰性となる場合があります。これは多くの場合良性で、腎臓の機能に問題はありません。医師の指示に従って経過観察を行います。

無症候性血尿

症状がなく尿に血液が混入している状態です。多くは一過性ですが、継続する場合は定期的な観察が必要です。腎炎や尿路感染症などが原因となることもあります。

保護者の皆様へのお願い

  1. 健診結果を確認する:学校からの健診結果通知を必ず確認してください。
  2. 受診勧奨に従う:「要受診」「要精密検査」などの指示があった場合は、早めに医療機関を受診してください。
  3. かかりつけ医に相談:健診結果に不安がある場合は、かかりつけ医に相談しましょう。
  4. 結果を報告:医療機関を受診した結果を学校に報告してください。「学校生活管理指導表」が必要な場合もあります。
  5. 継続的な健康管理:健診は年に一度ですが、日頃からお子さまの健康状態に気を配りましょう。

よくある質問

Q. 健診当日に学校を休んだ場合はどうなりますか?

A. 学校によって対応が異なりますが、多くの場合は後日の個別健診や医療機関での受診を勧められます。学校の指示に従ってください。

Q. 検尿を忘れてしまいました。どうすればよいですか?

A. 学校に連絡し、後日提出できるか相談してください。多くの学校では対応してもらえます。

Q. 健診で「要観察」と言われました。すぐに受診が必要ですか?

A. 「要観察」は緊急性は低いものの、経過を見ていく必要があるという意味です。次回の健診までに状態の変化がないか観察し、気になる症状があれば受診してください。

Q. 昨年も検尿で引っかかり、受診しましたが、今年も同じ結果でした。毎年受診が必要ですか?

A. 既に医療機関で診断を受け、定期的に通院している場合は、主治医と相談してください。学校には受診状況を報告し、必要に応じて「学校生活管理指導表」を提出しましょう。


診療時間 電話 Web予約 アクセス