子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)が原因となる病気で、子宮の入り口部分に感染することで発症する病気です。主に20~40歳代の女性に多く発症するがんの一種で、出産時期や子どもを残して亡くなるケースが多いことからマザーキラーともいわれています。日本では毎年約1万人が新たに子宮頸がんと診断され、そのうちの約3割が子宮頸がんで亡くなっています。がんの進行によっては子宮の摘出が必要になり、早期治療ができても流産や早産のリスクが高まります。また、男子がHPVワクチンを接種することでHPVウイルスにより発症する中咽頭がん、肛門がん、尖圭コンジローマなどの予防に効果が期待できます。日本では女子のみ公費での接種が認められていますが、海外の一部の国では女子同様に男子も定期接種の対象としています。
【 ヒトパピローマウイルス(HPV)が原因の主な病気】
・子宮頸がん
・外陰上皮内腫瘍
女性器の外陰部に発生するがんで、婦人科のがんの約3%を占めます。
・膣上皮内腫瘍
女性器の腟に発生するがんで、婦人科のがんの約1%を占めます。
・尖圭コンジローマ
直径1~3ミリ前後の良性のイボが性器や肛門のまわりにできる病気です。痛みやかゆみはほとんどなく、様々なかたちのイボができ、再発しやすく完治は難しいといわれています。妊娠している女性が尖圭コンジローマを発症している場合、出産時に産道で赤ちゃんがHPVに感染してしまう可能性があります。その場合、ごくまれですがのどにイボができる再発性呼吸器乳頭症を発症してしまうことがあります。この場合、声がれやイボが大きくなることで呼吸困難になり、命にかかわることもあります。イボを取り除くため、数回にわたり手術を行う場合があります。
子宮頸がんワクチンの接種は、小学校6年生から高校1年生相当の女子が2~3回接種することが標準的です。
[2~3回接種ワクチン(9価ワクチン シルガード9)]
初回接種が14歳までの場合、初回接種から6か月後に合わせて2回接種します。
初回接種が15歳以降の場合、初回接種から2か月後と6カ月後に合わせて3回接種します。初回接種が15歳以上になると3回接種する必要になることと、中学校に入学すると勉強や部活で忙しくなるため、小学校6年生のうちに2回接種を終えておくこともおすすめします。
一般的なスケジュール
・1回目:小学校6年生〜中学1年生
・2回目:小学校6年生〜中学1年生(1回目より6か月後)
女子はすべて公費で接種が可能です。
シルガード9はHPVウイルスによる病気を約90%予防します。
子宮頸がんワクチンの副反応としては、接種した場所の赤みや腫れ、痛み、しこりなどがみられますが、ほとんどの場合は1~2日以内におさまります。
また子宮頸がん(HPV)ワクチンは、重篤な副反応の可能性があったため2013年以降、積極的な接種の推奨が控えられていました。しかし、数年にわたる検証の結果、特段の懸念が認められないことが確認され、副反応のリスクよりもHPVウイルス感染症に対する有効性が高いと認められました。(2021年 厚生労働省健康局長通知)