日本脳炎は日本脳炎ウイルスによる感染症で、感染してもほとんどの場合は初期症状が見られないことが特徴です。感染した100~1,000人に1人の割合で発症するといわれており、感染してから7~10日後に脳炎を発症します。脳炎になるとけいれんや意識障害を起こし、重篤な後遺症や命にかかわります。日本脳炎ウイルスに感染した豚の血液を吸ったコガタアカイエカという特定の蚊に刺されることで、日本脳炎ウイルスが体に入り発症します。主に東南アジアで流行している病気ですが、国内でも感染者があり九州地方に多く見られます。また、夏から秋にかけて感染が増加する傾向にあります。
※1960年代までは、日本脳炎は子供を中心に年間数千人の患者が発生していましたが、国の予防接種対策や衛生環境の改善などにより、最近では年間10人前後に減少しています。ワクチン接種が広く行われるようになってから、子どもの罹患者数は減少しましたが、2006年から2015年の間に8例の小児例が報告されているため、予防接種の重要性は変わりません。
北海道は、日本脳炎の定期予防接種の対象外でしたが、国内の移動や海外渡航の機会が増えてきたことから、2016年4月から定期接種が開始されています。
日本脳炎ワクチンの接種は、通常、1、2回目は生後6か月~90か月未満、3回目は初回接種から約1年後、4回目は9~13未満の計4回が標準的です。
※3歳からの接種が標準的ですが、生後6か月からでも接種が可能です。
当クリニックの周辺地域では生後6か月からの接種とされています。
一般的なスケジュール
・1回目:生後6か月
・2回目:生後7か月(1回目接種から1~4週間後)
・3回目:1歳7か月(2回目接種から1年後)
・4回目:9~10歳(小学4年生)
すべて公費で接種が可能ですが、3回目を7歳半(90か月)までに接種しないと自己負担金が発生するため注意が必要です。
※特例措置について
上記の年齢以外でも、平成7年4月2日~平成19年4月1日生まれの方は、1期および2期の不足分を20歳までに無料で接種することができます。
接種の時期は、お子さんの接種歴によって異なりますので、母子手帳で確認の上、お問い合わせください。
ワクチンを接種することにより、日本脳炎の発症リスクを75~95%程度減らすことができるといわれています。
日本脳炎ワクチンの副反応としては、接種した場所の赤みや腫れ、痛み、しこり、かゆみなどがみられますが、ほとんどの場合は1~2日以内におさまります。