肺炎球菌は健康な子どもの10人に2〜3人は鼻腔やのどに存在していて、時に気道に付着して全身に広がることがあり、Hib(ヘモフィルスインフルエンザ菌b型)と並んで、こどもの細菌性髄膜炎や菌血症といった感染症の原因菌とされています。とくに2歳以下のこどもの場合は、ほとんど免疫が無く、感染すると重症化しやすいことも特徴です。肺炎球菌感染症になると、細菌性中耳炎や肺炎、細菌性髄膜炎などを起こします。髄膜炎は重症化して重篤な後遺症を残したり、死亡することもありますし、肺炎、関節炎などさまざまな感染症を発症することがあります。また、肺炎球菌感染症は乳幼児と高齢者で罹患しやすく、細菌性髄膜炎になった場合、Hibよりも予後が悪いことが知られています。
肺炎球菌には100近い型(血清型)があり、重篤な疾患の原因となったり、抗菌薬が効きにくい型があります。
肺炎球菌ワクチンを接種することで、自分自身の感染だけでなく、高齢者への感染予防効果も期待できます。現在は13種類の肺炎球菌に予防効果のあるワクチンが主流ですが、今後2024年4月1日から15種類の肺炎球菌に予防効果のあるワクチンに切り替わります(⇒こちら)。
肺炎球菌ワクチンの接種は、通常、生後2か月から開始され、3回の初回接種と1回の追加接種が標準的です。3回目接種後、3回目接種から60日以上の間隔をあけて、かつ生後12か月以上に(標準としては12か月から15か月になるまでの間)、1回接種を行います。
一般的なスケジュール
・1回目:生後2か月
・2回目:生後3か月
・3回目:生後4か月
・4回目:1歳
すべて公費で接種が可能です。
ワクチンを接種することにより、肺炎球菌(ワクチンに含まれる種類のもの)が血液や髄液から検出されるような重篤な肺炎球菌感染症にかかるリスクを95%以上減らすことができると報告されています。
肺炎球菌ワクチンの副反応としては、接種した場所の赤みや腫れ、痛み、しこりなどがみられますが、ほとんどの場合は1~2日以内におさまります。
また、全身的な副反応として、発熱、不機嫌などが10〜20%に認められます。