赤ちゃんの頭は、大人と比べてやわらかく、形にも個性があります。初めてのお子さんだと、「頭の形」「てっぺんがペコペコしている」など、心配になることもあるかもしれません。
赤ちゃんの頭の発育は、小児科の健診でもしっかり確認していますが、ご家庭で気になることがあった時のために、正常な状態と少し注意が必要なサインについて記載しています。
赤ちゃんの頭は通常4頭身で、大人の6頭身と比べると、頭の大きさは体に比べて大きく見えます。成長に伴って体とのバランスがとれてきますので、あまり心配しなくても大丈夫です。
健診では「頭囲(とうい)」を定期的に測って、成長曲線に沿っているかを確認しています。多くの赤ちゃんは、この曲線に沿って順調に育っています。
以下のような場合には、念のため小児科でご相談ください。
頭の大きさが急に大きくなった
成長曲線から上方に大きく外れている
頭が平均よりも明らかに小さい(小頭症)
これらは、脳の発育や頭の骨の閉じ方に関係することがあります。
赤ちゃんの頭の形は、出産時の圧迫や寝る姿勢の癖などで、少し左右非対称になったり、後ろが平らになったりすることがあります。
多くは、成長とともに気にならなくなりますので、通常は心配いりません。
頭が細長くてとがっている(舟状頭蓋)
前後が短くて丸っこい(短頭蓋)
こうした特徴的な形は、「頭蓋縫合(ずがいほうごう)」と呼ばれる頭の骨のつなぎ目が早く閉じてしまう「頭蓋縫合早期癒合症」で見られることがあります。医師の診察で適切に判断いたします。
赤ちゃんの頭をさわると、やわらかくてへこむ部分があります。これを「泉門(せんもん)」と呼びます。泉門は頭の骨と骨の隙間で、脳が大きくなるためのスペースを確保しています。
大泉門(だいせんもん):頭のてっぺんにあります。生後1歳〜1歳半ごろまでに自然に閉じます。
小泉門(しょうせんもん):後頭部にあり、生後すぐに閉じることも多く、触れない場合もあります。
大泉門がふくらんでいる(頭の中の圧力上昇が疑われる)
大泉門がへこんでいる(脱水のサイン)
閉じるのが早すぎる、または大きく開きすぎている
泉門の状態に違和感を感じたら、健診や受診時に遠慮なくおたずねください。
赤ちゃんの頭の骨は、一つに固まっているわけではなく、いくつかの骨が「縫合(ほうごう)」というつなぎ目で柔らかく結びついています。これによって、脳の発達に合わせて頭が大きくなれる構造になっているのです。
縫合が開いていることで頭がやわらかく、成長に応じて自然に閉じていきます。
縫合の一部が早く閉じてしまうと、頭の形が変形することがあります(頭蓋縫合早期癒合症)。
このような場合は、画像検査などを行い、必要に応じて専門的な治療が行われます。
赤ちゃんの頭の発育には個人差があり、ほとんどの場合は自然な変化の範囲です。ただし、保護者の方が「いつもと違うかも」と感じたら当クリニックで確認しますので、遠慮なくご相談ください。