小児科

ヒトライノウイルス・エンテロウイルス感染症

ヒトライノウイルス・エンテロウイルスとは?

ヒトライノウイルスとエンテロウイルスは、構造や感染経路、症状に共通点が多く、同じように扱われることがよくあります。どちらも主に小児を含むすべての年齢層に感染する可能性があり、風邪症状から消化器系の症状までさまざまな影響を及ぼします。


【感染経路】

ヒトライノウイルスもエンテロウイルスも以下のような経路で感染します:

  • 飛沫感染:感染者の咳やくしゃみ、会話を介してウイルスが広がります。
  • 接触感染:感染者の唾液や鼻水などの体液に直接触れることで感染します。
  • 間接接触感染:ウイルスが付着したドアノブやおもちゃなどの物に触れ、その後手を口や鼻に触れることで感染します。

特に子どもは、手洗いの頻度が少なかったり、周りの子と密接に遊んだりするため、感染のリスクが高まります。


【症状】

1. ヒトライノウイルス

  • 主に風邪の原因となるウイルスです。
  • 潜伏期間:感染してから発症まで2〜3日。
  • 主な症状:咳、鼻水、のどの痛み、発熱など。
  • 通常、数日間で症状が強くなり、7〜10日で改善します。

2. エンテロウイルス

  • 消化器症状や手足口病などの原因となるウイルスです。
  • 潜伏期間:3〜6日。
  • 主な症状:下痢、嘔吐、発熱。
  • 重症例では以下のような症状が現れることがあります:
    • 手足口病(手のひらや足の裏、口の中に小さな水疱ができる)
    • 無菌性髄膜炎(強い頭痛や発熱が見られる)
    • 急性出血性結膜炎(目の痛みや赤み、充血)

いずれのウイルスも通常は軽症で済むことが多いですが、喘息や気管支炎、肺炎を引き起こすことがありますので注意が必要です。

【検査】

多項目PCR法など特殊な検査で検出することが可能です。また血液検査でも検査できますが、やや日数がかかります。
※迅速検査(簡易的な検査試薬)を用いた測定は今のところ開発されていません。


【治療と注意事項】

ヒトライノウイルスもエンテロウイルスも、特効薬はありません。症状を和らげるために以下のような対症療法が行われます:

  • 発熱:解熱剤を使用して体温を下げます。
  • 咳や痰:鎮咳去痰薬を用いることで呼吸を楽にします。
  • 脱水症状:下痢や嘔吐がある場合は、適切な水分補給が大切です。

※抗生物質は細菌に効果がある薬のため、ウイルス感染には効果がありません。


【予防】

ウイルス感染を防ぐためには、日頃からの予防対策が重要です。以下のポイントを意識しましょう:

  1. マスクの着用:咳やくしゃみの飛沫を防ぎます。
  2. 手洗いの徹底:外から帰った後や食事前、トイレの後に石けんで手を洗います。
  3. 人混みを避ける:特に流行時期は、感染リスクの高い場所を避けましょう。
  4. 清潔を保つ:おもちゃやドアノブなど、子どもが触れる物を定期的に消毒します。

【最後に】

ヒトライノウイルスやエンテロウイルスによる感染症は、多くの場合は軽症で自然に回復しますが、子どもが喘息を持っている場合や、症状が長引く場合は注意が必要です。特に、発熱が続く、ぐったりしている、ひどい頭痛や吐き気がある場合には早めにご相談ください。


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