小児科

麻しん(はしか)

子どものはしか(麻しん)の症状と診断、治療、注意点などを解説します。

1.過去の流行状況

はしかの1年間の感染者数は、2008年に国内で大規模な流行があり11013人でしたが、ワクチン接種が積極的に行われるようになり、2015年には35人にまで減少しました。2019年には1年間で744人と増加しましたが、2020年以降新型コロナウイルスの感染拡大以降10名以下となっていました。20234月以降、日本全国で麻しん患者が増加傾向になり、広範な感染拡大が危惧され、2024年に入りさらに流行が懸念されています(⇒トピックス

2.感染力、感染経路

麻しんの感染力は非常に強く、 免疫を持ってない人が同じ部屋にいるとほぼ100%感染します。
 基本再生産数(まわりの人に免疫がなく、対策がとられない場合、感染者1人が感染を広げる人数)はインフルエンザや新型コロナウイルスより 高いことがわかっています(麻しん:12〜18人、 インフルエンザ:12人、新型コロナウイルス:13人)

感染経路: 感染経路は飛沫感染、接触感染もしますが、空気感染することが特徴で、空調を共有している室内であれば、感染者から遠く離れていても感染する可能性があります。

感染性がある期間: 潜伏期間は8〜12日で発症1〜2日前から感染性があります。

3.主な症状

・高熱や全身のだるさ・倦怠感
・鼻水や咳、目の充血
・顔から始まり体全体に広がる発疹

経過
 一般に8-12日の潜伏期間の後、発熱、咳嗽、結膜充血、眼脂などのいわゆるかぜ症状が2-3日続き頬粘膜に粘膜疹が出現します。その2-3日後に、頭部から発疹(斑状紅斑)が出現し、3日以内に体幹および四肢に広がります。その後暗赤色の丘疹となり、融合傾向を示しながら、最終的に色素沈着を残して治癒します。子どもでは嘔吐・下痢、腹痛を合併することもあります

治療

麻疹の治療には、症状の緩和を目的とした対症療法が一般的に行われます。解熱剤や鎮痛剤の使用により、発熱や痛みを抑えることができます。休息を取り、十分な水分を摂ることが重要です。
なお、肺炎、中耳炎などを合併することがあり、また脳炎を発症することもあります。呼吸状態、全身状態が悪化する場合には早めの受診が必要です。
合併症がなければ、主な症状は7~10日で回復しますが、免疫力の回復には1か月程度を要するため、それまでは他の感染症にかからないよう十分な注意が必要になります。

予防

予防接種が非常に効果的で、特に2回接種することで、感染のリスクを大幅に減らすことができます。

麻疹予防において、以下の点に注意してください:
・予防接種のスケジュールを守ること
・集団感染が疑われる場合は、公共の場に出かけないこと
・麻疹の症状が疑われる場合は、迅速に医療機関を受診すること
・感染予防のために、手洗いやマスクの使用を徹底すること


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