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2025-07-04

子どもの熱中症 – 夏本番の予防と対策

【鳥取県米子市の小児科監修】子どもが熱中症になりやすい理由や予防法、水分補給のポイント、応急処置まで詳しく解説。鳥取県西部の夏を安全に乗り切るために必読!

鳥取県西部(米子市)でも猛暑が続きます。子どもの熱中症に気をつけましょう。

本格的な夏を迎え、鳥取県西部・米子市周辺でも連日30℃を超える暑さが続いています。
蒸し暑い日が多くなり、保護者の皆さんにとっては、お子さんの「熱中症」が特に心配な季節だと思います。

子どもは大人よりも熱中症にかかりやすく注意が必要です。
その理由の一つとして、体温調節の機能がまだ未熟で、暑さにうまく対応できないことが挙げられます。
特に0〜6歳くらいの乳幼児や未就学児は、自分で体調の変化に気づいたり、適切な対処をしたりすることが難しいため、周囲の大人の気づきがとても重要です。


子どもの熱中症サインに注意しましょう

「風邪」と思っていたら熱中症だった、ということも珍しくありません。
次のような症状があれば、熱中症も考えましょう。

  • 顔が赤く、汗をかいていない

  • 呼びかけに反応が鈍い、ぐったりしている

  • 食欲がない、嘔吐した

  • 頭痛やめまい、けいれんを起こした

軽い症状でも油断しないように気をつけましょう。
様子がおかしいと感じたら、まずは涼しい場所に移動させ、水分補給を行いましょう。


隠れた熱中症リスクにも注意しましょう

熱中症は、屋外での運動中や炎天下だけで起こるものと思われがちですが、実際には日常の何気ない場面でも発症することがあります。
特に湿度の高い鳥取県西部・米子市では、以下のような環境でも注意が必要です。

● 多湿型(梅雨型)熱中症

気温がそれほど高くなくても、湿度が高いと汗が蒸発しにくく、体に熱がこもってしまいます

本来、汗が蒸発する際には「気化熱」によって体温が下がりますが、湿度が高いとこの効果が働かず、体温の調整がうまくいかなくなるのです。
その結果、倦怠感・頭痛・めまいなど、熱中症の症状が現れることがあります。

特に梅雨時や雨の後の蒸し暑い日は、屋内であっても油断せず、室温と湿度をしっかり管理しましょう。

● 夜間熱中症

「夜は涼しいから大丈夫」と思いがちですが、就寝中の室温や湿度が高いと、気づかないうちに脱水が進むことがあります

子どもは大人よりも汗をかきやすく、寝ている間も多くの水分が失われるため、夜間でも熱中症になるリスクがあります

エアコンのタイマーが切れる設定にしていると、室温が上昇しやすくなります。
熱帯夜が続く時期には、冷房や除湿機能を適切に使って、快適な睡眠環境を保つようにしましょう

● ベビーカーでの移動時

ベビーカーに座っているお子さんは、地面に近い位置にいるため、照り返しの熱を強く受けやすくなります。

アスファルトやコンクリートの上では、地面に近いほど気温が高く、体感温度が2〜3℃以上高くなることも。
さらに、ベビーカーに日よけカバーを付けた状態で長時間屋外にいると、内部の通気が悪くなり、小さな温室のように温度が上がってしまう危険性もあります。

移動時は、冷感マットや保冷剤を活用したり、日陰を選んだりするなど、こまめに涼をとる工夫が大切です。

● 車内での高温環境に注意

夏場の車内は、エンジンを切って窓を閉めた状態だと、短時間で室温が50℃近くまで上昇します。
ほんの数分のつもりでも、車内はすぐに高温になり、お子さんの体温が急激に上昇してしまうことがあります

「少しの間だから…」という判断は危険です。
必ずお子さんと一緒に車を降りるようにしましょう。

また、チャイルドシートで眠っている間も油断せず、こまめに様子を確認することが大切です。

● チャイルドシートにも熱中症リスク

チャイルドシートは、安全のために体をしっかりと固定する構造になっており、背中や腰、太ももに密着するため熱がこもりやすくなります
さらに、座面が車内の低い位置にあることで、エアコンの風が届きにくく、空気の流れが滞留しやすい環境です。

そのため、チャイルドシートに座っているお子さんは、車内でも熱中症にかかるリスクが高まると言えます。

暑い季節のドライブでは、

  • 冷感シートやタオルを敷く

  • 日除けカーテンやサンシェードを使う

  • エアコンの風向きを工夫する

など、体に熱がこもらないような工夫を心がけましょう


子どもが熱中症になりやすい理由

  • 体重あたりの水分量が多いため、水分が失われやすい

  • 汗をかく機能が未熟で体温調整が苦手

  • 自分で「のどが渇いた」と訴えにくい

  • 地面に近いため、照り返しの熱を受けやすい(ベビーカーは特に注意)


水分のとり方 

(⇒ 詳しくは、子どもの熱中症対策|正しい水分の与え方と飲み物の選び方のページへ)

子どもは大人よりも体温調節が未熟で、水分が失われやすい傾向があります。特に夏は熱中症や脱水症のリスクが高く、こまめな水分補給がとても大切です。

1日の水分の必要量は、年齢や体重によって異なります。目安としては、乳児(0〜11か月)は体重1kgあたり150ml、幼児(1〜6歳)は100ml、小学生は80ml程度が必要です。これは食事中の水分も含めたトータルの量ですが、暑い日は汗でさらに水分が失われるため、いつもより多めの補給が必要です。

水分は「喉が渇いた」と感じる前に取ることが重要です。子どもは遊びに夢中になっていると水分不足に気づきにくいため、30分おきに「水分とった?」と声をかけるのが理想です。炎天下や運動中は、15分おきに休憩と水分補給を心がけましょう。

水分補給の際は、一度にたくさん飲ませるのではなく、少量ずつこまめに与えることが吸収の面でも効果的です。

日常的な水分補給には、水・麦茶・薄めた子ども用イオン飲料などが適しています。これらは飲みやすく、体にもやさしい飲み物です。大量に汗をかいたときには、水分とあわせて塩分(電解質)の補給も必要です。そのようなときは、**スポーツドリンクや経口補水液(ORS)**を活用しましょう。

ただし、スポーツドリンクやイオン飲料には糖分も多く含まれているため、日常的に飲ませすぎないよう注意が必要です。脱水症状が疑われる場合には、塩分と糖分のバランスに優れた経口補水液が特に効果的です。

暑い季節、元気に過ごすためにも、こまめな水分補給を習慣化しましょう。


熱中症の応急処置 – 迷ったらすぐに行動を

  1. 涼しい場所へ移動

  2. 体を冷やす(首・わき・足の付け根などに保冷剤)

  3. 水分・塩分を補給(飲める場合のみ。無理に飲ませない)

  4. 意識がもうろうとしている、けいれんがある場合は119番通報を!


保護者が注意しておきたい点は?

  • 朝晩の涼しい時間に外遊びを

  • 室温・湿度をチェック(室温28℃以下、湿度60%以下を目安)

気温だけでなく湿度にも注意し、エアコンや除湿器、扇風機を活用して過ごしやすい環境を維持しましょう。特に蒸し暑い夜間はエアコンで寝室の温湿度を調整しましょう。

  • 薄手で通気性のよい服を着せる

  • ベビーカー内の温度にも注意!冷感マットや保冷アイテムを活用

  • エアコンや扇風機を使って、夜間の寝苦しさを防ぐ


周囲の大人の「気づき」と「備え」

熱中症は予防が可能な病気です。
米子市周辺でも猛暑が予想されるこの夏、ご家庭でもぜひ対策を話し合っておきましょう。
お子さんの体調に不安を感じたら、無理をせず早めにご相談ください。

もっと詳しく:関連記事

1.春~夏の子どもの熱中症と対策について

2.【子どもの熱中症】症状・予防・対処法

3.熱中症に関するよくある質問(Q and A)

4.子どもの熱中症対策|正しい水分の与え方と飲み物の選び方

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