小児科

【子どもの熱中症】症状・予防・対処法

鳥取県米子市は夏になると高温多湿となり、熱中症のリスクが高まります。特にお子さんは大人よりも熱中症になりやすいため、適切な予防と対策が重要です。この記事では、子どもの熱中症に解説します。

子どもが熱中症になりやすい理由

子どもは大人と比べて熱中症になりやすく、特に注意が必要です。その主な理由は以下の通りです。

1. 体温調節機能が未発達

子どもは汗をかく機能(発汗機能)が未熟です。大人は汗をかくことで体温を下げますが、子どもはこの機能が十分に発達していないため、体内の熱を効率よく逃がすことができません。

2. 体表面積と体重の比率

子どもは体重に対して体表面積が大きいという特徴があります。これは「熱しやすく冷めやすい」という特性につながります。周囲の環境の影響を受けやすく、気温が皮膚温よりも高い場合や、地面からの照り返しが強い場所では、体温が急速に上昇しやすくなります。

3. 地面からの照り返しや熱を受けやすいため

身長が低いため、地面に近い位置で過ごすことが多く、地面からの照り返しや熱を直接受けやすいです。大人が感じている温度より、子どもの体感温度は2〜3度高いと言われています。

ベビーカーを押しながら犬と散歩するママ 
体感温度:ベビーカーの赤ちゃんは大人より高く、イヌはさらに高く感じます。

4. 自己管理能力が十分ではないため

子どもは遊びに夢中になると、のどの渇きや体調の変化に気づきにくくなります。また、乳幼児は自分で症状を訴えることができないため、周囲の大人による観察と対策が不可欠です。

熱中症の症状と重症度

熱中症は症状の程度によって、軽症(I度)、中等症(II度)、重症(III度)に分けられます。子どもの場合は症状が急激に悪化することがあるため、早期発見と対応が重要です。

軽症(I度)の症状

  • めまい
  • 立ちくらみ
  • フラフラする
  • こむら返り、筋肉痛
  • 大量の汗をかく
  • 顔が赤い

中等症(II度)の症状

  • 頭痛
  • 吐き気・嘔吐
  • だるい、ぐったりする(倦怠感)
  • 力が入らない(虚脱感)
  • 体温の上昇(38℃前後)

重症(III度)の症状

  • 意識障害(呼びかけへの反応がおかしい)
  • けいれん
  • まっすぐ歩けない(運動障害)
  • 体が熱い(高体温、40℃以上)
  • 汗が出なくなる

重症の熱中症は命に関わる危険な状態です。早急に医療機関を受診する必要があります。

子どもの熱中症予防方法

熱中症は適切な予防策で防ぐことができます。以下の予防法を日常的に実践しましょう。

1. こまめな水分・塩分補給

炎天下で水分補給をする幼児|熱中症対策として外遊び中のこどもの水分補給の重要性

  • のどが渇く前に水分補給: 喉の渇きを感じたときには既に軽度の脱水状態です。遊びや運動の前、最中、後に関わらず、定期的に水分を取らせましょう。
  • 適切な飲み物の選択: 長時間の外遊びや運動後は、水やお茶だけでなく、スポーツドリンクや経口補水液など塩分も含むものを飲ませると良いでしょう。
  • 水分摂取量の目安: 年齢や体格、活動量によって異なりますが、外遊び中は30分に1回程度、コップ1杯(150ml程度)の水分補給が目安です。

2. 服装や日よけの工夫

熱中症対策に必要な持ち物一式|帽子・水・日傘・ハンディファン・タオルで夏の外出を安全に

  • 通気性の良い服: 汗を吸収しやすく、風通しの良い素材の服を選びましょう。
  • 帽子の着用: つばの広い帽子で顔や首筋を日差しから守りましょう。
  • 日傘の使用: 外出時には日傘を使用して直射日光を避けましょう。
  • 冷却グッズの活用: 保冷剤やクールタオルなども効果的です(ただし、乳児の場合は窒息リスクに注意しましょう)。

3. 環境管理と活動調整

  • 部屋の温度管理: 室内でも熱中症になることがあります。エアコンや扇風機を適切に使用し、室温は28℃以下、湿度は70%以下を目安にしましょう。
  • 活動時間の調整: 気温の高い時間帯(午前10時〜午後4時頃)の外出や運動は避けましょう。
  • こまめな休憩: 遊びや運動中は定期的に休憩を取り、涼しい場所で体を休めさせましょう。

4. 暑熱順化(体を暑さに慣らす)

暑熱順化とは、体を徐々に暑さに慣らしていくことです。夏本番を迎える前から準備することで、熱中症のリスクを下げることができます。

  • 適度な運動: 涼しい時間帯に適度な運動を行い、少し汗をかく経験をさせましょう。
  • 入浴の活用: シャワーだけでなく、湯船につかる習慣をつけましょう。
  • 暑熱順化の期間: 効果的な暑熱順化には約1〜2週間かかります(子どもは約1ヶ月かかることもあります)。

5. 子どもの様子に注意を払う

  • 顔色や汗のチェック: 顔が赤くなっていたり、ひどく汗をかいている場合は、深部体温が上昇している可能性があります。
  • 行動の観察: いつもと違う様子(ぐったりしている、反応が鈍いなど)が見られたら、熱中症を疑いましょう。
  • 適切な見守り: 特に乳幼児は自分で症状を訴えることができないため、定期的に様子を確認する必要があります。

熱中症の対処法

熱中症の症状が現れた場合、迅速な対応が必要です。以下の応急処置を行いましょう。

1. 涼しい環境に移動させる

すぐに涼しい場所(日陰や冷房の効いた室内など)に移動させ、体を休ませましょう。

2. 体を冷やす

冷やす場所

  • 衣服を緩め、身体の熱を放散させる
  • 首筋、脇の下、足の付け根など、太い血管がある部分を冷やす
  • 冷たい水で濡らしたタオルで体を拭く
  • うちわや扇風機で風を送る

3. 水分・塩分を補給する

意識がはっきりしていて、飲み込むことができる場合は、水分と塩分を含む飲料(スポーツドリンクや経口補水液など)を少しずつ飲ませましょう。

注意: 意識がはっきりしていない場合や嘔吐がある場合は、誤嚥の危険があるため無理に飲ませないでください。

受診の目安と救急車を呼ぶタイミング

以下のような場合は、すぐに医療機関を受診するか、救急車(119番)を呼びましょう。

病院受診が必要な場合

  • 水分を飲んでも症状が改善しない
  • 繰り返し嘔吐する
  • 強い頭痛がある
  • 軽度の意識障害(ぼんやりしている)

救急車を呼ぶべき場合

  • 意識がない、または意識がはっきりしない
  • 呼びかけに反応しないか、反応が鈍い
  • けいれんがある
  • まっすぐ歩けない
  • 体温が40℃以上ある

米子市の気候と熱中症対策

米子市は日本海側に位置し、湿度が高く蒸し暑い夏が特徴です。また、南風によるフェーン現象が発生すると、急に気温が上昇することがあります。特に7月下旬から8月にかけては気温と湿度がともに上がり、熱中症のリスクが高まります。
しかし、近年では春の時期(4月~5月)でも、最高気温が30度近くになる日が増えてきました。
この時期はまだ体が暑さに慣れていないため、真夏と同じくらい熱中症のリスクがあり、暑さに体を慣らしていくことが重要です。

    熱中症は予防が最も重要ですので、4月や5月からでもお子さんの熱中症予防を意識して取り組んでいただければ幸いです。何かご不明な点があれば、当クリニックまでお気軽にご相談ください。


    診療時間 電話 Web予約 アクセス