小児科

せき、鼻水、喘鳴(ゼーゼー)

 咳は気道の炎症が原因となりますが、夜間や明け方は気温や湿度が変わるために、粘膜が敏感に反応してせき込みやすくなります。とくに空気が乾燥すると、のどの粘膜が刺激を受けて咳が出やすくなったり鼻がつまったりするので、加湿器を利用したり洗濯物を干して加湿しておくとよいでしょう。
 せき込んだ時は、上体を起こして背中をトントンと叩いてあげると楽になります。鼻水がのどに落ち、痰がからんで苦しそうにせき込むときは少量ずつ水分を飲ませてあげましょう。コンコン、ケンケン、ゼーゼー、ヒューヒューなどいつもと違う呼吸をしたり、おかしな咳が出る時は動画を撮っておき、受診時にみせていただくと正確な診断につながりやすいです。
 鼻吸い器(スポイト)で吸い取ったり綿棒で鼻をそうじするのもよいでしょう。お風呂の後に行うと取りやすいですが、鼻の中を傷つけないよう無理はしないように注意してください。

※喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューする呼吸)について

 ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸は「喘鳴(ぜんめい)」と呼ばれます。これは、通常息を吐くときに聞こえます。気管支の壁が厚くなって気管支内が狭くなると、息を吐くときに勢いよく空気が通るため、笛のようにゼーゼー、ヒューヒューという音がするようになります。
 喘鳴の聞き分けは難しいことがあり、のどで痰が絡まったり鼻づまりによる音だったりすることも時々みられます。強い喘鳴では聴診器を使用しなくても、胸や口の近くに耳を近づけるだけで分かりますが、小さい音の場合はわかりにくいことがあります。
 喘鳴の特徴としては「息を吐くときに音がする」、「息を吐きづらそうにしている」、「息を吸う時間に比べて吐く時間が長い」があげられますので、注意して確認してみてください。できれば音声や動画の記録をしていただけると診察の時参考にできると思います。

せき、はながひどい、喘鳴(ゼーゼー)が聞こえる時に疑われる病気

クループ

 かぜをひいたときにのどの奥(声を出す声帯付近)が腫れ、オットセイのような咳(ケンケンと犬がほえるような咳)が出ます。声がかすれたり、出なくなったりします。のどの腫れがさらに強くなると息を吸うときに苦しがります。
 治療としては飲み薬を飲んだり、吸入してのどの腫れをひかせます。呼吸がしんどいときは早めに受診しましょう。

RSウイルス感染症

 強い咳や喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒュー)をともなう感染症(ぜん息性気管支炎)です。乳幼児の一部では高熱をきたすこともあります。一年中みられますが、秋から冬にかけて増加します。
 生後3か月未満の赤ちゃん、早産児、肺や心臓に疾患のあるお子さんは重症化することもあり注意が必要です。

ヒトメタニューモウイルス感染症

 発熱、咳、鼻水、喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒュー)、呼吸困難をともなう感染症です。1年中見られますが、2~6月がピークです。新生児や乳幼児は重症化することもあり注意が必要です。

マイコプラズマ感染症

 マイコプラズマという病原体によって引き起こされる病気です。5〜12歳が好発年齢で、咳が長く続くために検査をしてわかることが多いですが、中には発熱と咳(乾いた咳)が持続、増悪して全身状態が悪化することもあります。抗生剤(マクロライド系、ニューキノロン系)が有効です。

百日咳

 連続的に短く激しい咳が起こる細菌による感染症です。百日咳は年齢に関係なく抗体がなければかかる可能性があります。とくに流行期はなく1年中みられます。1歳未満の赤ちゃんは重症化することがありますのでとくに注意が必要です。百日咳の予防接種(四種混合ワクチン)は定期接種です。生後3か月になったら早めに予防接種を受けましょう。
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