小児科

子どもの成長障害(低身長、体重増加不良)・肥満とやせ

成長障害(低身長、体重増加不良)

 乳児期から3歳頃までは成長に栄養が大きく関係し、成長障害に栄養が関わることが多くみられます。また成長障害にはホルモンや栄養の利用の異常、肝臓や腎臓の病気などが原因のこともあります。3歳頃までの乳幼児の哺乳や食事量が十分ではない場合の多くは体重増加不良が目立ちますが、身長の伸びが悪いこともあります。また早産低出生体重児で生まれたお子さんの場合、2~3歳までに成長が追いつくことが多いですが、一部に成長が追いつかないお子さんがあり精査やホルモン治療の対象になることがあります。月齢や年齢に比べて身長が低かったり、身長の伸びるスピードがゆるやかと思われる場合は、年齢毎の身長・体重の記録を線で結んだ成長曲線に記入して評価することが重要です。成長障害の原因として、体の成長やエネルギー利用を調節するホルモン(成長ホルモン、甲状腺ホルモン、副腎皮質ホルモンなど)の異常がみられることがあり、成長曲線を利用することによってこのような病気の発見につながることもありますので、成長が気になる場合には一度受診してください。また必要に応じて精査、専門医への紹介も行っています。早期発見され適切な治療を早い段階で始めることができると、成長や成人身長の改善につながります。

乳幼児期

生まれたばかりの赤ちゃんの身長は約50cmです。1歳にはおよそ75cm、2歳で約87cm、4歳で約100cmになります。この時期には、栄養の摂取が重要な働きをします。

小児期

4歳の平均身長は約100cmで、その後年間約6cmずつ伸びていきます。この時期には栄養とともに「成長ホルモン」が大きく関与します。

思春期

思春期には成長速度が急激に速くなります(思春期の成長スパート)。男子では平均13歳、女子で11歳に速度がピークに達します。この時期には「性ホルモン」が重要な役割を果たします。

 


 

肥満とやせ

※太っている、やせているの基準について

 太っているお子さん、やせているお子さんは見た目である程度わかるものの、実際は異なることもありますのできちんと評価をする必要があります。通常評価には身長や体重を年齢別に記録する成長曲線(発育曲線)、体重や身長のバランスをみる身長体重曲線(肥満度曲線)があり、母子手帳や学校検診、医療機関で用いられています。母子手帳の乳幼児身体発育曲線のグラフには、体重、身長、頭囲の経時的変化や体重と身長のバランスをみる肥満度があります。グラフを用いる場合一度の計測値だけではなく経時的変化をみることが重要で、それぞれの値から同年齢の子どもと比較してどの程度かわかるようになっています。体重、身長、頭囲の変化は下3%と上3%の線の間に94%の子どもが入ります。この94%の外側に位置するだけでは異常とはいえず経時的変化が重要ですが、明らかにはずれている場合は医療機関を受診されることをお勧めします。肥満度を表す身長体重曲線の線は、肥満度+30%、+20%、+15%、−15%、−20%と5つの線があります。+15%と−15%の線の間に入るのが理想的です。

肥満

  1. 肥満度による分類

    幼児
    15%以上:太り気味 30%以上:太りすぎ
    学童期
    20%以上:軽度肥満  30%以上:中等度肥満  50%以上:高度肥満  とします。
  2. 子どもの肥満を放置したときのリスク

     子どもの肥満がみられるときにすぐ異常がでることは少ないですが、将来的に生活習慣病(糖尿病や高血圧症、脂質異常症)のリスクが高くなりますので、放置しないようにしましょう。これらの生活習慣病は、動脈硬化を進め、将来的に脳卒中や心筋梗塞のリスクが高くなります。
  3. 子どもの肥満の原因

     親の行動や習慣が関係することが多く、食事のバランスや間食の習慣など、家族みんなで改善に心がけることが必要になります。
  4. 子どもの肥満の対策

    1. 食事の時間・量を決めます
      食事は朝・昼・晩、できるだけ時間を決めて食べましょう。とくに、脂質・糖質の多い偏った食事に注意します。
    2. 体を動かしましょう
      運動の種類にこだわる必要はなく、何らかのスポーツの機会を作ることが重要です。もし始める場合は友達やご両親も一緒に始めると続きやすいです。
    3. おやつについて
      お菓子の袋をそのまま出すのではなく、お皿に分けて出すことが大事です。油が多いものはひかえましょう。
  5. 注意点

    1. 消費カロリーよりも摂取カロリーが上回っていれば痩せられませんので、食事のカロリーの計算、食事のバランスに注意しましょう。 管理栄養士など栄養に詳しい方への相談も有効です。
    2. 病気が隠れていることもあります。 肥満だけではなく、体調不良が見られる場合は病気が原因となっている可能性もあります。病気としては糖尿病、脂肪肝、睡眠時無呼吸症候群、ホルモンの病気などがあります。 気になる点があれば早めに受診しましょう。

 

やせ

 体重の増加・減少は、摂取カロリーと消費カロリーの差で決まります。摂取カロリーは食べる量、消費カロリーは体の機能を維持するために消費するカロリー(基礎代謝)と運動量によります。食事量には個人差がありますが、食欲が少ないお子さんの中には心臓、腎臓、血液、神経系の病気や感染症などが隠れていることがあります。また何らかの食べられる環境にないお子さんもいます。特に急なやせがみられる場合は急性の病気にかかっている可能性もありますので、明らかに体重の増えが悪かったり減少してきたときには速やかに医療機関を受診するようにしてください。